必要なのは、「頭の良さ」です。


(完売御礼)


世の中いろんなエッセイがありますが、的確に突いてくるその洞察力にいつも面白く読む人の一人が齋藤薫です。


「女が働くなら、業界3位の会社がいい」


と、業界3位の独特の雰囲気を書いていたときなんて、まさに自分がいたので「確かにそうだ!当たってる!!」と思ったもん。誰もそんなところ切ってこないだろう、ってところを切ってくるから素晴らしい。


で、最近、BAILAに連載していたエッセイがまとまったのがこちら↓


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きっとおしゃれがものすごい得意な人たちはBAILAは読まないんだよね。でも、流行は人並みに押さえるし、おしゃれに疎いわけでもない、でも“私はこれです!”みたいな強いスタイルを持っているというわけでもない、という人たちが読者に多いだろう、ということをものすごく念頭に置いて書いているなぁ、という文章です。


で、一時期流行った“愛され服”について、ちょっと待て、というところから入るわけですが、


何となくぼわっと可愛い服を“愛され服”などと名づけ、見事にわかりやすくなったけど、そこにあるのは“男ってこの程度”という甘い読み


だから、“愛され服”の定義が安易すぎると、やっぱり安易な男にしかアピールしない。


とし、ファッションなんてそんな甘いもんじゃないんだぜ!まともな男だったら結局“頭がいいこと”が女性に求める大前提であって、“愛され服”とは服を愛されるんじゃなくて、自分への興味を引きこむことであり、頭を使って考えられた“洗練”がないとダメなんだ!というお話を細かく書いているんですが、全体というよりふとした項目の一文が面白かったりするので、ぜひ読んでみて。



例えば。



色づかいの上手は、ある種数学的な頭のよさを想像させる



わかる。


しかも幾何学なかんじ?おしゃれって全体をイメージする能力とそこに到達するための足したり引いたりの計算が感覚的にできないとダメで、それは数学的と言い換えていいと思います(ま、私は数学苦手なんですがね)。


とか。



平日の夜のデートは、男よりも2〜3割上等な女である必要がある。一応の正装感をもっている男のビジネススーツとの対比で、女性がカジュアルだと女がとてつもなく軽薄な安い女に見えてしまう。だから、平日のデートは、自分自身のためにも、男のネクタイに見合う服を選ぶこと。今のデート服の平均値からいくと、本当はみんなもう少し“おめかし”していい。でないと、ビジネス男とのデートでは、どうしても女が見劣りする結果になってしまうから。2〜3割上等が、エスコートされる女のマナー。理屈抜き、世の習いとして、見た目は女のほうがちょっと高そうでないと、カップルはサマにならないのだ。



これもわかるなぁ。


“2〜3割”って塩梅が難しいんだよね。ゴージャス過ぎても、いったいどちらへ?ってかんじになっちゃうしね。こっちもスーツじゃ、お仕事で接待中?みたいだし。ワンピースでもいい歳して大量生産品的安い質感のものは、価格以上に(以下に?)安―く見えるしね(自らへの苦笑)。ダイアンとかが一時期すごい流行ったのも、まさにその“2〜3割”だったのかもね。



オシャレというのは、とにかく頭を使って鍛え上げ、勉強していくもので、そこには知性が絶対に切り離せず、そうして辿りついた自分の“スタイル”とは、初めて聞いたのに耳について忘れられなくなる曲のように、人の心の琴線に触れ、相手を引き込むような存在感を刻みつける、人を魅了し、惹きつけるものなのだ(=それが本当の“愛され服”)ってことで、ちょっと前までやたらと謳われていたベタベタな“愛され服”“モテ服”へのアンチテーゼとなっています。


・・・ま、私はあれ、ギャグとしてしか見てなかったけどね(取り入れる気ゼロ)。それもダメ?