e.m.というアクセサリーブランドがあります。
ビームスやVIA BUSさん等大手アパレル流通ではよく見かけることのできる、まさに「個性的なアクセサリー in JAPAN」の代表ブランドです。そんなカテゴリー分けでいいのかわかりませんが。
こちらの虫やお花のシリーズは私は大好きです。


しかし。
私がそんなことより感動したのはこちらのブランドコントロールに対する徹底した考え方。
私はこのアクセサリー業界を全く知らずして入りこんで、「ブランド」という視点からもっと小売店に対するチェックが厳しいのかな?と、ある程度覚悟していたのですが、割と国内外問わずノーチェック。ミニマムをクリアしてくれればいいですよ、みたいなところが多いのですが、こちらのe.m.さんは店内、外観及び什器写真と取扱いの動機等を記した書類を提出し、わざわざ営業の方が出向き審査をなさいます。一瞬びっくりしますが、でも、ブランドを大事にしようと思ったら当然というか、むしろこれぐらいがスタンダードなのかと当初は思っていたわけです。


デザイナーのお二人の考え方ががっちりベースにあって、売り場からディスプレイ、メディア露出等々あらゆるブランドの細部にまで神経が行き届き、単なる売上げ至上主義的でないブランディングの仕方が、ヴィトンやグッチといったオーセンティックなブランドを彷彿とさせる、とてもレベルの高いものだと思いました。往年のトムフォードの、あれだけの世界規模のブランドであってもあらゆる細部に徹底して彼の世界観を行き渡らせ、手を抜かない、クリエイターであり、クリエイティブディレクターである、というスタンスを理想としている知り合いがいますが、まさにそんなかんじ。単純に大企業がブランドを管理しているのと違って、デザイナー二人の強烈なこだわりや精神がすべての根拠となっていて、その精神を周りの人間もしっかり理解し、ブランドを作り出しているという、ブランド作りをしようとしている人間の理想系を感じました。私はそもそも甘い人間なので、こうしたモノ作りを厳格にしている人(たち)を見ると、憧憬を覚えてしまいます。
うちの店が審査に通るかはまぁ別にいいとして、「ブランド」を作り出している人たちの生なかんじを味わえたので、それだけでもありがとうございます、といった一日でした。