贋作 罪と罰

贋作 罪と罰

難解


私は「パンドラの鐘」以来の久々の野田作品でしたが、割と他の作品は、言葉遊びや重層的な時間の展開等、バーッととっちらかっているものが、最後にグッとまとめあげられていくかんじの、なんていうか、数学の美しい証明問題を目の前で解かれているような感動がいつもあるんだけど、今回は「・・・あのー、すいません。・・・わかんなかったので、もう一回いいですか?」みたいな取り残され感有り。誰か、いや、あれはね・・、って解釈してくれないか。



「人間はすべて凡人と非凡人との2つの範疇に分かたれ、非凡人はその行動によって歴史に新しい時代をもたらす。そして、それによって人類の幸福に貢献するのだから、既成の道徳法律を踏み越える権利がある」という思想の下、主人公(英:松たか子)は殺人を犯す。罪の意識に苛まれながらも、徐々に追い詰められていき・・・、というストーリーが幕末を舞台に展開―。



「理想のため、思想のために人を殺す」ことが許されるのか、というのが基本テーマなんですけどね、で、その罪を犯し、葛藤する主人公を救う存在として“坂本竜馬”が出てくるんですよ。


“思想”を掲げながらも結果的に時代を転換できない(もっというと、理屈だけ語って具体的には他人まかせで、手を汚さない)志士たちとの対抗として、裏切り者と罵られても“金”というリアリティでもって、無血で事を成す才谷(竜馬:古田新太)の存在が描かれるわけですが、要は落としどころは“竜馬”で、どれだけの理想や思想があっても、人の命と引き換えることはできないんだ、と英に対して竜馬に言わせたところが結論なんだとは思うんだけど、でも、それだけじゃ、表面的な解釈すぎ


一神教的な)神のいない日本人にとっての“贖罪”のあり方とか、もっといろいろあるんだと思うんだよね。・・・すいません、ほんと、わかりません
すごい消化不良。なんか気持ち悪い。


とりあえず、もう一回ドストエフスキーの「罪と罰」再読して、3月のWOWOW観よう。


もう前売りはすべて完売してますが、意外と当日券は入手できそう。
1月末ぐらいまでやっているので、ご興味があればぜひ。
・・・そして私にレクチャーしてください。